ALWAYS 三丁目の夕日(つづき)

ALWAYS 三丁目の夕日 豪華版 [DVD]

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昨日書いたことほどではないが、観ていて軽くいらっと来たのは、時々顔を出す中途半端な漫画的演出や表現。やるなら、例えば、「下妻物語」ぐらい突き抜けてほしいし、押さえるなら徹底的に押さえてさりげなく表現してほしい。これは好みの問題だと言われてしまえばそれまでだが。
CGは結構よく作られていたと思う。ただ、いかんせん昭和30年代を知らない僕には、どこまで現実感があったかは分からない。エピソードを少し整理して、僕が生まれる10年前の昭和33年の風景をもっと描いてほしかった気はする。その時代を知らない人間をも、擬似的に深く追体験させられるような力を持った時代描写がもっと欲しかった、この映画に期待していたのはそういう点だけど、これはちょっと物足りなかったかもしれない。
などと書いたけれど、別にこの映画を否定しているわけではない。上で書いた僕にとっての不満点を解消された映画が一般的に受ける映画になるとは限らないだろう。この映画は良くも悪くも「大衆映画」だと思う。目指している物が、僕の好みとは根本的に違うのだし「大衆映画」というものには確かに存在する価値はある。昨日も書いたように、若い頃は敵意を向けたタイプの映画ではあったけれど、年齢のせいなのかどうかは分からないが、この頃は、こういうものに過剰に敵意を向けるのは野暮だなと思うようになってきたし、これはこれでいいと思えるのだ。
僕が映画にしろその他の媒体にしろ虫酸が走るぐらい大嫌いなのは、先鋭を気取っているが本質は陳腐でしかないものだ。この映画は少なくとも先鋭を気取ってはいないだろうし、陳腐であったとしてもそれは大衆的な面白さと重なる物か、あるいは、外れていたとしても紙一重だろう。つまり、例えるなら、笑点の笑いに、松本人志のコントを引き合いに出して文句をつけたってそれは野暮だろうってことで、それと同じようなことがこの映画について言えると思うのだ。僕は松本人志千原ジュニアの作るコントが大好きだけれど、笑点だって否定したくはないし、笑点笑点で悪くないと思えるのだ・・・だんだん、何を書いているのか、何を言いたいのか自分でも分からなくなってきたので、この映画について語るのはこのあたりで、お終い。