Cinema 16: European Short Films - なんにもない世界の足音　PARTⅡ

ルイス・ブニュエルとサルバドール・ダリの「アンダルシアの犬」、ジャン＝リュック・ゴダールの「男の子の名前はみんなパトリックっていうの」、ヤン・シュヴァンクマイエルの「ジャバウォッキー」、ラース・フォン・トリアーの映画学校卒業時作品「NOCTURNE」、「リトル・ダンサー」のスティーヴン・ダルドリーの監督デビュー作「Eight」など、ヨーロッパのショートフィルム16編を収録したDVD「Cinema 16: European Short Films」は、途中まで観た後、続きを観るまで間隔が空いてしまったのですが、今日、最後まで鑑賞しました。
2007-07-10にも書きましたが、良い作品が多く、バリエーションに飛んだ収録内容で、退屈することなく楽しむことのできた1枚でした*1。この DVD は、UKなどで発売されていた、「Cinema 16 European Short Films」と「Cinema16 British Short Films」の2本から、16編を選び、日本向け盤として再構成されたもので*2、一部を除いて、監督や評論家などによる、オーディオ・コメンタリーも各作品に収録。但し、本編音声には日本語字幕がありますが、コメンタリーの方は、英語音声のみで日本語字幕はつきません。
収録内容は以下です。

Juan Solanas (France) "L'Homme Sans Tete" ("The Man Without A Head")
Tom & Charles Guard(UK)"Inside Out"
Jean-Luc Godard (France)"Charlotte et Veronique, ou Tous les garcons S'appellent Patrick"
Peter Mullan (Scotland)"Fridge"
Christopher Nolan(UK)"Doodlebug"
Jan Svankmajer(UK)"Jabberwocky"
Chris Morris (UK)"My Wrongs #8245-8249 & 117"
Anders Thomas Jensen (Denmark)"Valgaften (Election Night)"
Lars Von Trier (Denmark)"Nocturne"
Lynne Ramsay(UK)"Gasman"
Stephen Daldry(UK)"Eight"
Asif Kapadia(UK)"The Sheep Thief"
Toby Macdonald(UK)"Je T’aime John Wayne"
Peter Naylor, Carl Hunter(UK)"Unloveable"
Mathieu Kassovitz(FR)"Fierrot Le Pou"
Luis Bunuel and Salvador Dali(FRA)"Un Chien Andalou"

収録作品の中で、フランスの作品 "L'Homme Sans Tete" (英題 "The Man without a Head") は、この作品のことも、監督の Juan Solanas の名前も、はじめて知ったのですが、これがすごくいい作品で、収録作品の中でも特に気に入りました。頭の無い男が、好意を寄せる女性とのデートの為に、頭を買いに行き・・・という、ファンタジックなお話で、映像は、美しく印象的で、目を奪われるもので、ストーリーも良く出来ており、監督の非凡な才気を感じます。このショートフィルムは、2003年のカンヌ映画祭のジュエリー賞やフランスのセザール賞など、数多くの賞を取った作品だそうで、Juan Solanas についてネットで調べると、まだ監督作品数は少ないようですが、新作があるようでしたら注目していきたい監督です。

狂気をユーモラスに描いている、英国作品 Chris Morris の"My Wrongs #8245-8249 & 117" も、作品・監督ともにこれまで知りませんでしたが、気に入った一本。英国アカデミー賞受賞作品だそうです。