Blind Woman's Curse『怪談昇り竜』 DVD 鑑賞

恐怖奇形人間』が壺にはまったので、石井輝男監督作品をもっと観ようと購入した、日本ではDVD未発売の、2作品のUS盤、
Blind Woman's Curse (怪談昇り竜)
Female Yakuza Tale (やさぐれ姐御伝 総括リンチ)
のうち、『怪談昇り竜』は、土曜日に観終わっていたのですが、連休中にもう一度ぐらい観てから感想書こうと思いながら、結局観られなかったので、取りあえず一度目鑑賞での感想を。
奇形人間のラストほどの、破壊力ある脱力シーンはないものの、理屈抜きに、すごく面白かったです。任侠、怪談?、愚連隊、復讐、拷問、見世物小屋、生首、黒猫etc...が、ごった煮で、目まぐるしく物語に現れては消える、石井輝男世界は、悪く言えば一つ一つを完全に描ききれていないのかもしれないけれど、そんなことはどうでもよくなる独特の魅力が、そのひとつひとつにあり、全て語られないからこそ想像力も刺激してくれます。
主演の、梶芽衣子も、まだキャリア全盛期前なのだと思いますが、流石、かっこいいです。このときまだ22〜3ぐらいなんでしょうか、顔立ちに幼さはまだ残ってる物の、その年齢で普通は出ないであろう、凛とした強さが魅力的です。梶芽衣子の代表作を全然観ていないのですが、タランティーノが、梶芽衣子に心酔するのが少し分かりました。
恐怖奇形人間』で圧倒的な存在感だった、土方巽は、この作品にも出演しており、奇形人間よりは脇役ですけれど、作品内で、梶に、兄を殺され自らも盲目となり、復讐の為に女剣客となる、ホキ徳田とともに、半端無い存在感です。
ラストの梶と徳田の決闘シーンの、雲が渦巻く夜の空は、書き割りでチープなんですが、スタイリッシュでかっこよく、オープニングのスローモーションの剣劇など、印象的な映像に、石井監督の、映像作家としての天才肌を感じます。
内田良平演じる、山高帽に赤ふんの愚連隊の親分は、ビジュアル的にもキャラクターとしても面白く、強い印象に残りますが、普通の映画なら、ストーリーを左右するほど活躍する脇役であってもおかしくないのに、終始、特にストーリーに影響せず、描写不足で全く掴みきれないまま終わっちゃいます。このあたりが石井監督作品らしいところなのでしょうか(笑)映像として面白ければ、のりと閃きのまま撮影し映画に詰めこんじゃうのかも。だから、脈絡とか、脚本との整合性だとか、そういうのを超越した映像や人物がスクリーンに現れてきて、鮮烈な面白さを残してくれる。・・・って、石井映画初心者が、適当な想像で書いていますが、石井輝男監督に詳しい方、的はずれなら、失笑してやってください。
きっと、奇形人間の脱力ラストだって、天才監督の頭の中ではすごい映像のイマジネーションがあって、感動的な映像になっていたに違いない。予算や当時の技術の問題であぁなったじゃなかろうか。そしてイマジネーション通りにするのが無理であっても、撮ってしまえて、奇跡的な面白さが生まれてくるのも、石井監督の魅力なのかも。・・・あっ、ここも的はずれなら、失笑してください。


パッケージ。先日書いたとおり、リージョン1とパッケージにはありますが、実際にはリージョンALL。

メニュー画面の、センスが素晴らしい。国内盤出たとしても、このセンスは期待できないのでは。



梶芽衣子さん、綺麗でかっこいいです。

見世物小屋のシーンも、石井輝男ワールドって感じで、いいです。


せむしの男役の土方巽。このあたりが、国内でのリリースを阻んでいるのか?

ディスクはピクチャーレーベルになってます。

日活100周年邦画クラシックス GREATシリーズ 怪談昇り竜 HDリマスター版 [DVD]

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