0課の女 赤い手錠(ワッパ)


0課の女 赤い手錠(ワッパ)
1974年公開作品
監督 野田幸男
脚本 神波史男 松田寛夫
出演 杉本美樹 郷硏治 室田日出男 荒木一郎 丹波哲郎 三原葉子

最近観た、70年代邦画の中でも、特に印象に残った一本。70年代東映の、B級バイオレンスアクションの傑作です。
杉本美樹の、抑揚の少ない棒読みに聞こえることもあるセリフ回しもキャラクターにぴたっと嵌っている、虚無的なまでにクールで、ハードボイルドな主人公もとても魅力的ですが、この映画、陰の主役だらけというか、脇役陣のキャラクターがとにかく凄い。不幸な生い立ちの哀しさを凶暴凶悪な行動でしか癒せない、郷硏治演じる、鬼畜犯罪者の狂気をはじめとして、室田日出男三原葉子荒木一郎丹波哲郎ら、どいつもこいつも、どこか、いかれてる奴らばかりで最高。


冒頭、杉本美樹は、体を武器に、サディスティックに黒人娘を殺した白人外交官に近づき、投げればあり得ない動きで悪人どもに絡みつく、スーパーな赤い手錠で外交官を捕らえ、股間を赤い拳銃で撃ち抜き、殺す。
警察に戻り、同僚達に問いつめられた杉本は、玩具みたいな赤い手錠と拳銃と手帳を返却し、警察手帳まで赤かったのかよと一笑いさせてくれたところで、牢屋入り。タイトルが現れ、ちょっと外れた音程で、杉本美樹歌う主題歌が流れます。

一方、丹波哲郎演じる冷徹な次期総裁候補は、彼の娘が、凶暴な郷暎治らに、陵辱され監禁され身代金を要求してきたことで、総監と室田演じる刑事に、事件を公にしないまま娘を救い出せと銘じます。そして室田から、犯人達を全て殺して娘を救い出すよう命じられ、牢を出てきた杉本は、郷暎治ら犯人達に近づくことに成功する。
この後、杉本が、知恵と体を使って犯人達を一人一人殺した後、娘を救い出し、めでたしめでたし・・・ってな展開にはなりません。一人殺した後は、暫しの間、犯人達の残虐非道を虚無の眼で見つめる傍観者と杉本はなります。実は、これこそ、この映画を傑作としているところだと思うのですが、主人公が傍観者な分、郷暎治ら犯人グループ達と、室田と政治家丹波哲郎らが際だち、そして彼らが主体となる部分が、また滅茶苦茶おもしろいのです。脇の演技は、郷も凄いが、室田もすごい。まるで死霊と化してしまう室田の最後は必見。もちろん、主役の杉本美樹も、彼女でしかできなかったと思える填り役。
この作品、ビデオ化はされてはいるもののDVDがなぜか日本盤未発売。東映の映画配信サイトMovie Circusや、ShowTimeなどでネット配信もされているので、特に発売に障壁はなさそうなんだし、DVD出そうよ東映さん。こんな傑作を、DVDで残さないなんて怠慢ですよ。しかし日本国内のみならず海外でもカルト的人気を持つ、この作品、海外盤ならDVDがリリースされていて、US盤を購入しました。
【amazon.com】Zero Woman: Red Handcuffs(0課の女 赤い手錠)
【discotek catalog】Zero Woman Red Handcuffs


映像特典が予告編だけなのは物足りなかった物の、画質面は、丁寧な仕事ぶりでなかなか良く、鑑賞には満足の一枚。2つ折り裏表印刷の1枚だけのブックレットに、オジナル・ポスターの印刷があるのが嬉しい。
同じメーカーDiscotekが出しているDVD、「怪談昇り竜」は、ケースに、リージョン1と書かれながら、リージョンオールでしたが、こちらは、表記通りリージョン1でした。 ネットでは、0課の女もリージョンオールという情報も複数見受けられたので、もしかしたら、リリース当初はリージョンオールで出した物の、途中で、リージョン1に変わったのかも。ひょっとして、Discotek って、最初はリージョンオールでDVD出して、抗議など問題が出たら何食わぬ顔でリージョン1に変えてしまうという作戦だったりするのでしょうか。だとすると、「怪談昇り竜」のケース表記と実際のリージョンが違うのも説明つくか。単なる、憶測ですけど。
0課の女 赤い手錠【DVD】

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