パンズ・ラビリンス
それは先生が論文のなかで、妖精物語の真の姿、その最高の機能はそれが「幸せな大詰め」を持っていることである、と主張しておられたからです。なぜなら、妖精物語の「幸せな大詰め」は、「最終的な敗北が蔓延することを否定し」「この世界を取り囲む壁の向こうに存在するあの『喜び』、悲しみと同様に鋭く人を突きさす『喜び』を感じさせるもの」であるからです。先生は空想の世界の建設を通じて、悲劇や不条理を人生の本質であると考える近・現代の悲観主義に真っ向から反対しておられたのでした。*1
スペイン内戦後、第二次世界大戦末期、フランコ独裁政権下のスペインの苛烈な現実と、少女オフェリアが体験した(あるいは空想したかもしれない)ファンタジーとが並行し交錯する。
ファンタジー映像部分では、なんといっても、ペイルマンが造形も動きも素敵すぎ。ペイルマン主演のサイドストーリーが見たいぐらい。子供食べてしまうシーンとか出すとPG-12指定で効かなくなるかもしれないが・・・
見終えて、現実を生きることへ優れたファンタジーが与えてくれる効用について、考えさせられる。
ラストの捉え方はいろいろあるだろうし、こうだと決められるような一面的なものではないが、ファンタジーだからこその「幸せな大詰め」は、そこにあったと思う。妖精が見えないメルセデスの目に映った少女はただ、不幸で悲劇で不条理の犠牲者だったろうけれど、妖精が見えるオフェリアの目に映るのは、「幸せな大詰め」の世界だ。
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