ファーザー・クリスマス―サンタ・クロースからの手紙

ファーザー・クリスマス―サンタ・クロースからの手紙

トールキンの「ファーザー・クリスマス―サンタ・クロースからの手紙」、今月出版だとは知っていたので、そろそろ出ているかと、木曜日の仕事帰りに書店に立ち寄り入荷日を聞いたら、倉庫から出してきてくれました。入荷したばかりだったようです。映画公開から時間が経つにつれ、日本語のトールキン関連書の新刊がなかなか出なくなってきている中、トールキンファンに嬉しい一冊を出版してくれる評論社、流石です。
ところで、トールキンが自分の子供たちの為に、毎年書いて送っていた、サンタクロース（と助手の北極熊ら）からの、愉快な手紙と絵を収録した「サンタ・クロースからの手紙」は原書・翻訳ともに複数これまで出版されています。簡単にまとめてみますと、最初、"The Father Christmas Letters" という書名で、1976年に出版されました。編集はトールキンのご子息クリストファー・トールキンの奥さんであるベイリー・トールキン。日本語訳も同じ年に、瀬田貞二訳で早くも出版されています。

サンタ・クロースからの手紙 (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

今回出版された、「ファーザー・クリスマス―サンタ・クロースからの手紙」及びその原書"Letters from Father Christmas"と比べて、収録された絵や手紙は抜粋された形の収録で、薄い絵本ですが、トールキンの子供たちへの愛情や、手紙を入れる封筒や切手まで作り筆跡も変えるトールキンらしい凝り様、トールキンのユーモアなど、たっぷり詰め込まれた素敵な本で、僕もそうですが、この絵本が好きなトールキンファンの方は多いと思います。
また、1995年に、内容的にはさらに"The Father Christmas Letters"（サンタクロースからの手紙）のダイジェスト版ですが、実際の手紙や封筒の形のものが付属しているのが楽しい、横長の仕掛け絵本として、「クリスマス・レターつき　サンタ・クロースからの手紙」が出版されています。

サンタ・クロースからの手紙 (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

原書はこちらです。

Letters From Father Christmas

絵本「サンタ・クロースからの手紙」の原書 "The Father Christmas Letters" は、1999年に改訂版が、書名も新たに "Letters from Father Christmas" として出版されています。この改訂版では、旧版では収録されてなかった手紙や割愛された部分が多数収録されており、頁数も3倍以上の160頁で大型の立派な本です。

Letters from Father Christmas

そして原書は、さらに2004年に、1999年版とはまた異なったレイアウト編集の版が出ています。ページ数、奥付、表紙から見て、今回出版された「ファーザー・クリスマス―サンタ・クロースからの手紙」は、この2004年版の全訳のようです。尚、2004年版は、1999年版よりページ数が減っていますが、これはどうやら、手紙の文章や絵が1999年版より割愛されているということではないようで、レイアウトなどが整理されているからです。例えば、1999年版では、年ごとの区切りで、手紙内の年号の飾り文字部分だけ（あるいはその周辺）で、1ページを使っていますが、2004年版では使っていません。

Letters from Father Christmas

上のハードカバー版の他に、ペーパーバック版も出ています（内容は、ハードカバー版と同じだと思います）。

Letters from Father Christmas

僕は1999年版の原書を所有していて、2004年版での違いがずっと気になっていたのですが、翻訳が出たおかげで、比較ができます。まだ詳しくは比較していませんが、文章や手紙の絵の部分の収録数は同等でしょう。ただ、1999年版では、封筒もほぼ全てが大きくレイアウトされていたのですが、2004年版では封筒の一部で、裏表紙に小さくまとめてレイアウトされているだけのものがありそうでした。
洋書は他にも "Father Christmas Letters Mini-Book" という小型本が出ているようですが、こちらの収録内容等は分かりません。

Father Christmas Letters