妖怪大戦争

こっちは買ってから1年以上もほったらかしにしてました。ほったらかしすぎるにもほどがありました。三池崇史が撮るファミリー層も意識したメジャーな妖怪映画って、どういうものになっているのか興味があったので、買ったものでした。今日、ようやくようやく鑑賞。
以下ネタバレあり。

結構面白かったです。主人公の少年タダシは全く関係ない、加藤保憲のやられ方の馬鹿馬鹿しさっぷりとか、三池監督らしいし、僕は好きです。ヒロイックな活躍の帰結として妖怪戦争の終幕を描かず、加藤保憲が間抜けな敗北をした後、脳天気な妖怪達のお祭り騒ぎと、おそらくほとんどの観客に取っては唐突に現れたよく分からないキャラクターにすぎないであろう、水木しげる大先生のメッセージで幕引きをするのがいい。
川姫で結びつく、タダシと、宮迫博之演じるかっての少年佐田の対比、そして、大人になりかっての少年となったタダシにはもう、一緒に戦った「すねこすり」の姿は見えない。僕はこういうのに弱いです。文章にすれば、ありがちな話しなのですが、観ていてぐっときました。この対比などは、もっと分かりやすい演出、例えば、佐田をかって、別の妖怪戦争を戦った少年とし、それをあからさまにほのめかしたり、佐田と川姫との絡みや、タダシと川姫との間に感傷的な交流を増やしていれば、万人受けするエピソードになっていたような気もします。ですが、この映画では、忘れ去られた存在として、いったいどういうことがあったのかすら観客も想像するしかない人物として佐田が描かれ、タダシと川姫との関係も、川姫の人間への複雑な感情が生む、どこか心許さない距離感があり、タダシもいつか会っても川姫に思い出されることない大人となるように感じさせられるのが、なんともせつないのです。