The Hobbit 70th Anniversary Edition



Tolkien Library サイトのThe Hobbit 70th Anniversary Edition by Harper Collinsに詳しいですが、Houghton Mifflin と、HarperCollins が、The History of the Hobbit 2巻と、70th記念版として出版される The Hobbit『ホビットの冒険』の新しいハードカバーとの、3冊ボックスセットを出版します。尚、HarperCollinsの方は、昨日時点で、amazon.co.uk では既に在庫ありになっていましたが、amazon.co.jp では、今のところ、なぜか取り扱っていないみたいです。
HarperCollins の ボックスセットは惹かれるのですが、『The History of the Hobbit』は、HarperCollins版を単体で2巻とも既に購入済みなので、『The Hobbit 70th Anniversary Edition』だけを、何冊目かのホビット原書購入となりますが、Houghton Mifflin版を単体で予約していました。HarperCollins からも、後から単体で発売されるみたいですが、なぜかこちらは amazon.co.uk でもまだ予約できなかったので、現時点で入手しやすい Houghton Mifflin 版にしました。
昨日、発売予定日より早く、その『The Hobbit 70th Anniversary Edition』が到着しました。早速届いたばかりの本書を開いてみると、想像していたのとはちょっと違っていて、新しい序文など 70th 記念向けの文章が収録されているのかと思ったのですが、そういうものはなく、1987年に出版された50th記念版のクリストファー・トールキンによる序文からの文章が、Preface として9頁収録されていました。50th記念版は持っていなかったので、これはこれでうれしい収録です。但し、"This Preface is excerpted from the foreword to The Hobbit Fiftieth Anniversary Edition published in 1987." となっているので、全文収録ではなく抜粋のようで、また、1995年出版の Artist & Illustrator への参照の言及があったりします。おそらく、1987年版の序文をベースに、1987年版特有の収録に該当する文章を省くなどして再構成してあるのかもしれません。
この序文、クリストファーが、自身の子供時代や兄弟達の回想を含む、The Hobbit の誕生から、執筆と出版過程、LotR に繋がるまでの流れや幾つかのエピソードを、トールキンの書簡からの引用を交えながら、読みやすくまとめてくれている、とても面白い文章ですし、クリストファーの証言は、『The History of the Hobbit』や『The Annotated Hobbit』など、詳細に研究している書籍の一次資料でしょうから、その貴重な文章が読める版であることは、この70th Anniversary Edition で良い点のひとつだと思います(今、入手できる版だと、おそらく、Deluxe Edition でも、この序文の内容は読めるのじゃないかとは思いますが、高価なんで簡単には手が出せませんしねぇ・・・僕は何度も買おうかどうしようか迷って、注文までしたこともあるのですが、結局、キャンセルして未所有です・・・)。
前述の、The Hobbit 70th Anniversary Edition by Harper Collinsに書かれている、Harper Collins 版 のレビューにもあるとおり、カバーの装丁は、オリジナルのトールキン装丁を復刻させたもので、紙質の関係もあるのか淡い水彩画の感じがとてもよく出ていて、色合い、質感など、The History of the Hobbit 及び、HarperCollins から出版されているハードカバーの LotR 50th Edition 3巻+注釈巻などと統一感がありました(出版社マークだけは当然違いますが)。邦訳のオリジナル版でも使われているカバー絵ですけれど、邦訳オリジナル版は、ポスターカラーのような印刷でしたから、水彩画の雰囲気がある本書の装丁で見ると印象が違うものですね。
LotR 50th Edition 3巻ハードカバーも、History of the Hobbit も淡さのある装丁の雰囲気が好みで結構気にいってますから、この The Hobbit も、気に入ることができそうです。これらのハードカバーは、高級感という点からすると特別はないのですが、豪華すぎると、重くなったり、大きすぎて読みにくくなったりもするので、普段の読書用には、これぐらいが、ちょうどいいような気もします。ちなみに、最近の、HarperCollinsは、同社のハードカバーとしては普及価格帯のものを、同種の装丁で続けて出版していて、「シルマリルの物語」や「終わらざりし物語」も去年新装版が出版されているみたいです。
本を開いてすぐの見開き部分にある、地図が古い地図っぽい色になっているのも、ちょっと嬉しい点。但し、見開きにあると、ページとページの間が見にくくなるので、本当は折込の地図だったらもっとよかったのですが。もちろん、トールキンの最初の願い通り、ルーン文字が透けるようにして。Deluxe 版だと、折込地図になっているようなので、差別化やコストの点もあって、こういう形になったのかもしれません。
トールキンの描いた、白黒挿絵とカラー口絵も完璧に収録されていて、初版の二刷以降で省かれてしまった、「闇の森」の絵まで復活されて収録されています。
尚、本書のテキストですが、アンダーソンさんの Note on The Text は、2001年の日付になってますが、The Hobbit 70th Anniversary Edition by Harper Collinsに、"It also has the 'Note on the text' by Douglas Anderson, author of the Annotated Hobbit, which was introduced in 2001. This edition is based on the reset edition which was first published in 2005."とあるように、実際には、より最新の校訂がされたテキストのようです。また、本文の字の印刷は読みやすいです。

  • 【Houghton Mifflin 版ボックスセット】

History of the Hobbit

History of the Hobbit

  • 【Houghton Mifflin 版 The Hobbit 70th Anniversary Edition】

Hobbit: 75th Anniversary Edition

Hobbit: 75th Anniversary Edition

(2007-09-22追記)
Amazon.co.uk で、HarpeCollins 版ボックスセット、予約時や入荷直後ぐらいまでは、定価の£50だったと思うのですが、現在は、値引き率が上がって、30%OFFの£35となってますね(現時点の為替レートだと、航空便の送料含めて1万円ぐらいです)。
また、日本のサイトだと、紀伊國屋Bookwebでも注文可能のようです。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/booksea.cgi?ISBN=0261102915