『ファーザー・クリスマス―サンタ・クロースからの手紙』

クリスマス直前ということで、クリスマスらしいお奨め本をご紹介。
2006-10-22 でも紹介しましたが、『ファーザー・クリスマス―サンタ・クロースからの手紙』は、トールキンが自分の4人の子供たちの為にサンタクロース(と助手の北極熊や、秘書のエルフら)になりきって、毎年クリスマス頃に送っていた、想像力に満ちた、愉快な手紙と絵が収録されていて、封筒や切手や字体まで、サンタクロースや北極熊らからの手紙だと信じさせるように、とても凝っているので、文章の内容や絵だけでなく、手紙や封筒の写しを眺めるのも楽しい本です。子供達を喜ばせようとしている、トールキン自身も、とても楽しんで手紙を書いているのが、本全体から伝わってきます。赤い表紙の装丁も、とても素敵です。
1920年に、長男のジョンが送ったサンタクロースへの手紙の返事からはじまり、成長した、末っ子のプリシラに、サンタとして、お別れを言い、ジョン・マイケル・クリストファーにもよろしくと書かれた手紙で本書は終わります。子供達は、順に大きくなると、サンタクロースに手紙を送らなくなりますが、我が子の成長を寂しくも思っている、父親としてのトールキンの素顔が文面にも表れていると思います。
去年、出版された本書は、『サンタ・クロースからの手紙』という題で絵本の形で出ていた版より、手紙や絵が大きく増えて、読み応えがあり、絵本版をお持ちの方にもお薦めです。

ファーザー・クリスマス―サンタ・クロースからの手紙

ファーザー・クリスマス―サンタ・クロースからの手紙