「ブラザーズ・クエイ ショート・フィルム・コレクション」DVDリリース

遂にというか、ようやくというか、ブラザーズ・クエイ作品の、日本盤短編集DVDが「ブラザーズ・クエイ ショート・フィルム・コレクション」というタイトルで3/27にリリースされるようです。日本語版クエイ短編集のソフトはVHSしかなかった上に、販売元の版権切れで入手もしづらい状況でしたのでファンとしては大朗報のリリースです。
ブラザーズ・クエイ ショート・フィルム・コレクション」の、詳しい収録内容は、まだ不明ですが、Amazon.co.jp の商品解説にある、

全世界に衝撃を与えた伝説の処女作『人工の夜景』から、日本でも大ヒットを記録した代表作『ストリート・オブ・クロコダイル』、監督インタビューやオーディオ・コメンタリーなど特典もふんだんに盛り込んだ二枚組ディスク!

という記述を見ると、過去のエントリー

などで紹介している、ブラザーズ・クエイ短編集 英国盤DVD 『The Quay Brothers - The Short Films 1979-2003』と北米盤DVD『Phantom Museums: The Short Films Of The Quay Brothers』の、日本盤なのかもしれません。この 英国盤/北米盤DVD は収録内容・画質など大変優れたDVDですので、もし同内容であるなら、それも朗報です*1

ブラザーズ・クエイ ショート・フィルム・コレクション [DVD]

ブラザーズ・クエイ ショート・フィルム・コレクション [DVD]

また、去年〜今年にかけてようやく日本で公開された実写長編「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」のDVDも3/27に同時リリースされます。長編作品も今回が初DVDですね。といっても、クエイの長編は「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」と「ベンヤメンタ学園」2作だけですけれど。
ピアノチューナー・オブ・アースクエイク [DVD]

ピアノチューナー・オブ・アースクエイク [DVD]

*1:これらの海外版に比べて、「ブラザーズ・クエイ ショート・フィルム・コレクション」 が随分高い値段なのは、もっと低く抑えて欲しかったなぁ

「その男ヴァン・ダム」 / 「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー」

土曜日に、劇場で2本映画鑑賞。
☆☆☆☆☆・・・傑作
☆☆☆☆ ・・・良い
☆☆☆  ・・・面白い、悪くない
☆☆   ・・・物足りない
☆    ・・・残念

  • 「その男ヴァン・ダム」☆☆


この作品を観に行った、シネマート心斎橋では、「バンク・ジョブ」「その男ヴァン・ダム」「エグザイル/絆」3作品の上映を「男の旅路 英国発・ベルギー経由・マカオ行き」と渋く名付けている。この上映企画で、他作品の半券を持っていくと、「その男ヴァン・ダム」は1000円で見ることができるので、既に観に行っていた「バンク・ジョブ」の半券で1000円のお得価格で鑑賞。実話を元にしたというクライム映画「バンク・ジョブ」は、とても面白い、お薦め作品なので、「シネマート心斎橋」に「ヴァン・ダム」を観に行く人は、その前に是非どうぞ。
で、ジャン=クロード・ヴァン・ダム自虐ネタありの予告編に笑い牽かれて観に行った、「その男ヴァン・ダム」であるが、冒頭の劇中アクション映画の長回しシーンが、なかなか良く出来ていて、うぉーーーと心躍る。ヴァン・ダムも気合い入ってて、途中まではかなり切れ味よし。最期はNGになって、やり直しする填めに陥ったヴァンダムが「もう48歳なんだ」と、若造監督にぼやくのも面白く、掴みはOK。故国ベルギーの郵便局で強盗にまきこ込まれ、犯人に間違われるまでの、ファンとのやり取りもなかなか面白い。これは期待できそうだ!・・・と思ったのだが、この映画が流れとして面白かったのは、残念ながらここまで。
期待した自虐ネタは、強盗の中にいるヴァン・ダムのファンが、ジョン・ウーを恩知らずと貶すところや、ヴァン・ダムがセガールに役を取られたと言う、予告編にもあるシーンなどは、確かにすごく笑えるのだが、全体的には笑いどころは少ない、とても真面目な作品であった。真面目なテーマが中心でもいいのだけれど、自虐ネタも一つ一つはせっかく面白いのだし、半端に入れずに、女癖や薬や3流アクション映画出演という数々のネガティブイメージを逆手に利用して、もっと徹底的にやってほしかったところ。
傑作「狼たちの午後」を意識しという、強盗犯達の描き方も、いまいちだ。暴発しそうな狂った奴と、ヴァン・ダムファンは面白くなりそうな要素ではあったのだが、結局、描き方がこれまた半端で、薄っぺらくてつまらない。そもそも、この2人+まきこまれて犯人と間違われるヴァン・ダムだけでいいのに、なぜ強盗を3人にしたのか?一人全くいる意味がなかった。人質達、警察官、やじ馬、の描き方も同じく半端で、観ていない人間はもちろんだろうし、「狼たちの午後」を観ている人間をにやりとさせることすらできないように思う。
この映画は、観るとヴァン・ダムに好感を持てるようにはなるが、全体にヴァン・ダムを使ったメタフィクションとしても「狼たちの午後」のオマージュとしても、煮え切らない作品。終盤にヴァン・ダムが、劇から離れて、人生を振り返る、魂の叫びのような哀しい独白も、興味深くはあるし、悪くはないのだが、いまひとつ心に響ききらなかった。自虐や活躍や親子愛などを濃密に描いて、もっとヴァン・ダムに感情移入させてもらった上で聞きたかった。
家に帰ってから PodCast で聞いた、「ライムスター宇多丸 ウィークエンドシャッフル」のシネマハスラー1月3日放送分で、宇多丸氏が、概ね言いたいことを語ってくれていて、大いに頷かされた。
「その男ヴァン・ダム」を見終え、梅田に移動し、次に観る「ヘルボーイ」がはじまるまでの間の時間に立ち寄った店で、「狼たちの午後」の2枚組が30%OFFだったので購入。音声解説や特典は未見なので楽しみ。

狼たちの午後 [DVD]

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実は一作目を観てないけれど、「ビギンズ」観ないで行った「ダークナイト」のときみたく、問題ないだろうと。
ヘルボーイのキャラがいい!へらず口で短気でオタクで猫好きで恋人には頭が上がらない根は優しい悪魔!原作は未読なのでそのあたりの忠実度は分からないのだが、デル・トロが、どこかしらかの引用やらオマージュやら自分の好きな物をたっぷり詰めこんだ、趣味大全開の映画って感じ。特に本当宮崎駿のこと好きなんだなぁと。いろいろ宮崎駿作品を彷彿させる。最期の王子との対決シーンは、カリオストロ好きとしては特に注目!
クリーチャーのイマジネーションと映像は、とにかく凄いとしか言いようがない。「パンズ・ラビリンス」で、もっとクリーチャーを見たい物足りないと思った人は、是非「ヘル・ボーイ/ゴールデンアーミー」を。これでもかって言うぐらい、いっぱい見せてくれる。
そのクリーチャー絡みのシーンはどれも見応えあるんだけど、圧巻は、宮崎駿と怪獣映画を融合させたような、巨大な森の精が暴れてヘルボーイと対決するシーン。これをスクリーンで見るだけでも、劇場に足を運ぶ価値絶対あり!映像を楽しみたいならDVDまで待つなんて言わないで、劇場へ行こう。
ストーリーは、まぁこんなものでしょってとこだけれど、イメージの凄さ、キャラ達の面白さ、圧倒的な映像で高得点つけられる映画で、☆4つ。
アメコミ物のせいか、上映規模が小さくて配給会社から期待されてない感があるが、梅田TOHOシネマも121席、スクリーン 3.6×8.5mのあまり大きくないシアターでの上映。これでも関西でやる劇場の中ではましな部類のようだが、もっと大きなスクリーンでもう一度観たい!

ヘルボーイ [DVD]

ヘルボーイ [DVD]