吾妻ひでお「うつうつひでお日記」

うつうつひでお日記 (単行本コミックス)

うつうつひでお日記 (単行本コミックス)

購入。おもしろい。帰りの電車の中で読み始めると止まらず、家に着いてから一挙に読みきる。ベストセラーとなった「失踪日記」は今更僕が書くまでもなく、面白い日記だった。こっちの日記はまた違った面白さ。狂気まっただ中の時期を含む「失踪日記」に描かれているような壮絶でヘビーな体験はないが、不遇な時期であり、狂気の世界から帰還し、まるでリハビリをしているかのような作品を描いていた時期の吾妻ひでおの日常を垣間見れる。「不条理日記」発表から80年代にかけての活躍と影響力が幻だったかのように、地味で貧乏で売れず注目も浴びず、ひたすら本を読んでいる日常を読まされると、隔世の感があるのだが、かって「不条理日記」への注目からファンを増やし一気に波に乗ったように、再び、日記をタイトルに冠する作品で、注目を集めているのは歴史は繰り返すといことか。いや、というより、氏の才能と資質を広く分かりやすく知らしめるのに、日記漫画というのは、良い媒体なのだろう。