『謎のマンガ家・酒井七馬伝―「新宝島」伝説の光と影』読了。

酒井七馬伝』は面白すぎ。今日は、読書より、「フラガール」のコメンタリーや特典を楽しむつもりだったのだが、読み出すと止まらず、予定を変更。
手塚治虫の単行本デビュー作であり、革新的な漫画として、伝説となった「新宝島」。一方、原作者でありながら、漫画史の中で忘れられた存在となっていった、酒井七馬が、「新宝島」で果たした真の役割を、本書は、多くの関係者の証言と酒井七馬の作品と仕事の発掘を通じて、検証し、再評価していく。

単なる師弟関係ではない、七馬と手塚の間の緊張関係がそれぞれの力を越えた作品を生み出した。(略)
新寶島』はその頃酒井七馬が描いた作品のどれよりも優れているし、『新寶島』後1年間で手塚が描いたどの作品よりもデキが良い。(p.119,121より引用)

まことしとやかに語られてきた、鴨川つばめも信じていた通説、酒井七馬は「新宝島」の後は、手塚と対照的に作品が売れず、困窮の為、コーラで飢えをしのぎ、遂には餓死してしまったという悲劇的な人生だったとは果たして真実だったのか?なぜ、その通説は生まれたのか?この本の中に、答えがある。

謎のマンガ家・酒井七馬伝―「新宝島」伝説の光と影

謎のマンガ家・酒井七馬伝―「新宝島」伝説の光と影

時折、小説風の会話描写が入ってくるのが気になったが、読みやすさには貢献しているのかもか。
とにもかくにも、この本がすこぶる面白いことは請け合う、お薦めの一冊。
読後、ネット検索してたら、著者の方のブログ発見。
悪役ランプの編集日誌