The Annotated Alice について

昨日のエントリーで、マーティン・ガードナーの『注釈付きアリス』("The Annotated Alice")について触れたが、以前、拙サイトで同書について書いた内容を転載。

2004/08/31(火)
不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」の映画化を、スピルバーグのドリームワークスが企画しているそうです。ドリームワークスが手がけるなら、きっとメジャーな大作映画として大々的に公開されるだろうから、実現して、映画をきっかけにアリスブームにでもなって、アリス&ルイス・キャロル関係の本で、在庫切れや絶版で現在入手しにくい貴重なものが増刷・復刊してくれたり、未訳の研究書などの翻訳が出版されると嬉しい。

アリス&ルイス・キャロルに関する、邦訳の研究書の類は、基本文献と思われる、東京図書から出ていた、マーチン・ガードナーの詳注アリス(『不思議の国のアリス (マーチン・ガードナー注 石川澄子訳)』、『鏡の国のアリス (マーチン・ガードナー注 高山宏訳)』、『新注・不思議の国のアリス (マーチン・ガードナー注 高山宏訳)』、『新注・鏡の国のアリス (マーチン・ガードナー注 高山宏訳)』)や、河出書房新社から出ていた、モートン・N・コーエンの『ルイス・キャロル伝 上、 ルイス・キャロル伝 下』ですら、現在は一般書店での入手が難しくなっているようです。メジャーな映画化は、映画自体の出来への期待以外に、国内のルイス・キャロル文献の寂しい状況の改善にも期待が膨らみます。

ちなみに、前述、マーチン・ガードナーの詳注アリスは、書名から、書名に新注とついていない方を旧版で、新注とついている方を旧版の改訂版だと思う勘違いをしやすいようですが、そうではなく、前者2冊は、『The Annotated Alice』の翻訳で、後者2冊の新注とついているものは、『The Annotated Alice』の続編で1990年に出版された『More Annotated Alice』 という別の本の翻訳です。『The Annotated Alice』と『More Annotated Alice』に付けられた注釈は、基本的にはだぶっていないので、これから図書館や古書市場で邦訳を探して読もうと思っている方がいれば、4冊とも読むのがお薦め。

尚、原書の詳注アリスは、現在は『The Annotated Alice』と『More Annotated Alice』に分かれてはいません。『The Annotated Alice - The Definitive Edition』(ハードカバー版 ISBN: 0393048470、 ペーパーバック版 ISBN: 0140289291) が出版されており、この The Definitive Edition は、旧版の『The Annotated Alice』と『More Annotated Alice』の、注釈を全て含むよう纏めた上で増補改訂されているので、原書の詳注アリスは、この The Definitive Edition だけを入手すればいいです。

上の転載した日記で触れている、ドリームワークスによる「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」映画化については、その後音沙汰はないので、おそらく企画が頓挫したのであろう。それとは別に、最近、ディズニーが、ティム・バートンで「不思議の国のアリス」の3D映画を制作すると発表している。
参考リンクティム・バートン監督が「不思議の国のアリス」を3D映画化!
上の日記で触れた本を、僕自身は、『The Annotated Alice - The Definitive Edition』は、Penguin Books のペーパーバックで持っていて*1、旧版の邦訳は新注以外の2冊を持っている。新注の2冊とコーエンによる伝記は、図書館で借りて読んだことがある。

The Annotated Alice: The Definitive Edition

The Annotated Alice: The Definitive Edition

The Annotated Alice: The Definitive Edition: Alice's Adventures in Wonderland and Through the Looking Glass

The Annotated Alice: The Definitive Edition: Alice's Adventures in Wonderland and Through the Looking Glass

不思議の国のアリス

不思議の国のアリス

鏡の国のアリス

鏡の国のアリス

新注 不思議の国のアリス

新注 不思議の国のアリス

新注 鏡の国のアリス

新注 鏡の国のアリス

ルイス・キャロル伝〈上〉

ルイス・キャロル伝〈上〉

ルイス・キャロル伝〈下〉

ルイス・キャロル伝〈下〉

*1:『The Annotated Alice - The Definitive Edition』のペーパーバックは軽いのはいいのだが、注釈部分の字が小さくて読みづらいのでハードカバー版の方ならどうだったんだろうと気になっている。